フロリダ・ディズニーワールド|アニマルキングダムの動物の食事と栄養
アニマルキングダムの動物の食事はどう作られる?Animal Nutrition Centerの役割
フロリダのディズニーワールド(Walt Disney World Resort)にあるディズニー・アニマルキングダム(Disney’s Animal Kingdom)では、動物ごとに個別の食餌プランが作られ、動物栄養の専門家、飼育スタッフ、獣医師などが連携しながら、動物たちの食事と健康を管理しています。
2026年9月、ペゴスタッフが実際にフロリダのディズニー・アニマルキングダムを訪れました。今回は、Animal Nutrition Center(動物栄養センター)やConservation Station(保全ステーション)の現地展示、ディズニー公式情報、ガイドから受けた説明をもとに、動物たちの毎日の食事がどのように考えられ、準備され、エンリッチメントや健康管理とどのようにつながっているのかをご紹介します。
ディズニー・アニマルキングダムでは、単に決められた餌を毎日与えるのではなく、個々の動物に合わせた食餌計画、エンリッチメント、健康モニタリングなどが動物ケアの一部として行われています。ディズニーは、こうしたケアを研究・観察・経験(Research, Observation and Experience)に基づいて行っていると説明しています。
フロリダ・ディズニーワールドと関連施設の位置関係
今回のブログで紹介する施設について簡単にご紹介します。
Walt Disney World Resort(ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート)
フロリダにある世界最大級のディズニーリゾートです。日本の東京ディズニーリゾートには「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」の2つのテーマパークがありますが、フロリダのディズニーワールドには、Magic Kingdom、EPCOT、Disney’s Hollywood Studios、Disney’s Animal Kingdomの4つのテーマパークがあります。そのため、日本の感覚でいうと「ディズニーランドとディズニーシーに、さらに2つの大型テーマパークが加わっている」ようなイメージです。
Disney’s Animal Kingdom(ディズニーズ・アニマル・キングダム)
アニマルキングダムは、フロリダのディズニーワールド内にある、その4つのテーマパークのうちの1つです。動物・自然・保全を大きなテーマの一つとするテーマパークです。現在250種以上の動物が暮らしています。(ちなみに、単純な面積ではアニマルキングダムは、東京ディズニーランドの約4倍の規模で広いです。)

Wildlife Express Train(野生動物エリア行きの列車)
アニマルキングダムのAfricaエリアからConservation Station(保全ステーション)へ向かう列車です。保全ステーションを訪れる際は、この列車を利用します。

Conservation Station(保全ステーション)
獣医療、動物栄養、科学研究、小型動物など、ディズニーの動物ケア(Animal Care)の一部をゲストが見学できます。
Animal Nutrition Window(動物栄養見学窓口)保全ステーション内にあるゲスト向けの見学エリアです。動物たちの毎日の食事を準備する仕事について学ぶことができます。
Animal Nutrition Center(動物栄養センター)
通常ゲストが立ち入ることのできないバックヤードの専門施設です。アニマルキングダム、Animal Kingdom Lodge、The Seas with Nemo & Friends(水族館)などの動物向けに、1日 約4.5トン以上の食事を準備・配送しています。
Veterinary Treatment Room(獣医療処置室)
保全ステーション内で、動物が実際に獣医療を受ける施設をガラス越しに見学できます。タイミングによっては処置(手術やレントゲンなど)を見ることもできます。
Science Center(科学研究センター)
ディズニーの科学者たちが取り組んでいる活動や研究を見ることのできるエリアです。
Amphibian, Reptile and Invertebrate Windows
両生類・爬虫類・無脊椎動物などを観察できる展示。

1日に4.5トン以上の食事を準備するAnimal Nutrition Center
Animal Nutrition Center(動物栄養センター)では、アニマルキングダムだけでなく、Disney’s Animal Kingdom Lodgeや、EPCOTのThe Seas with Nemo & Friends(水族館)など、ディズニー内の複数の施設に暮らす動物たちの食事を準備・配送しています。
その量は、1日 約4.5トン(10,000 lb以上)にもなります。
扱われる食事も、野菜や果物だけではありません。植物性の食材から肉食動物向けの食事まで、動物に応じて幅広い食餌が用意されています。
さらに、フロリダのディズニーワールド全体では、1,200以上の個別の食餌プランが管理されています。つまり、単に「キリン用の食事」「トラ用の食事」といった動物種ごとの食事だけを準備しているのではなく、個々の動物に合わせた食餌計画が作られています。

アニマルキングダムの動物の食事を支える専門家
アニマルキングダムの動物ケアには、さまざまな専門分野のスタッフが関わっています。
・動物栄養士/動物栄養の専門家(Animal Nutritionists)
・飼育スタッフ(Animal Keepers)
・獣医師(Veterinarians)
動物栄養センターでは、それぞれの動物に必要な食事を計画・準備します。一方、飼育スタッフは実際に食事を与えながら、日々のケア、エンリッチメント、健康モニタリングにも関わっています。
必要に応じて獣医師とも連携し、食事は動物ケア全体の中で管理されています。

スマトラトラのBaksoについて紹介したディズニーの資料でも、栄養の専門家、獣医師、飼育スタッフなど、複数の専門家が成長や健康管理に関わっていることが紹介されています。
また、アニマルキングダムが認定を受けているAssociation of Zoos and Aquariums(AZA:詳しくはコチラ)には、動物園や水族館の栄養管理を専門とするNutrition Scientific Advisory Groupというグループがあります。このグループは、動物の生物学と栄養学を理解し、その知見を実際の給餌管理へ応用する比較栄養学(Comparative Nutrition)を推進しており、ガイドラインや専門資料なども提供しています。
動物栄養は健康管理・予防的ケアの一部
ディズニーは動物栄養センターを、単なる動物用の調理施設ではなく、獣医サービスと予防的ケアプログラム(Veterinary Services and Preventive Care Program)の一部として位置づけています。
つまり、Animal Nutritionは「動物の餌を準備する」だけではなく、日々の健康管理を支える役割も担っています。動物ごとに合わせた食餌が準備され、飼育スタッフは日々の給餌、エンリッチメント、健康モニタリングを行います。
ディズニーは、こうした動物ケア全体について、研究・観察・経験に基づいて行われていると説明していました。
アニマルキングダムでは枝や葉も動物の食事になる「Browse Program」
アニマルキングダムのAnimal Nutritionで特徴的なのが、Browse Programです。
Browseとは、動物に与えられる若芽、枝、葉、花などの植物素材を指します。
保全ステーションに展示されている「Got Browse? We do!」では、Browseはエンリッチメント、おやつ、食事の重要な一部として動物に与えられていると紹介されています。
展示されていた植物には、バナナ、竹、ユーカリ、アカシア、クワ、ヤナギ、ヤシの葉、ヒマワリ、バラなど、多様な種類が含まれていました。

さらに現地展示によると、アニマルキングダムのバックヤードには約38ヘクタール(東京ドーム約8個分)の栽培エリアがあり、園芸スタッフがバナナ、竹、アカシア、ヤナギなどの植物を育てています。そこからBrowse Programとして、毎週約1.8トン(約4,000 lb)の葉や枝類が供給されていると紹介されていました。
つまり、アニマルキングダムの動物の食事には、動物栄養センターや飼育スタッフだけでなく、園芸部門も関わっています。
カンガルーの食事では季節によってBrowseも変わる
ディズニーが公開しているカンガルーの飼育情報を見ると、Browseには季節による違いもあります。
夏には、以下が利用されます。
・Willow(ヤナギ)
・Banana(バナナ)
・Mulberry(クワ)
一方、冬には、以下が利用されます。
・Ear Leaf Acacia(オオバアカシア)
・Japanese Blueberry(ホルトノキ)
・Silverberry(グミ属の植物)
さらに、ロメインレタス、ニンジン、リンゴなども日常的な食事として与えられています。この例では、一年を通してまったく同じ植物だけが提供されているわけではなく、季節によって利用されるBrowseも変化していることが分かります。
アニマルキングダムの動物の食事とエンリッチメント
アニマルキングダムでは、食事とエンリッチメントが完全に別々のものとして扱われているわけではありません。ディズニーは動物へのエンリッチメントについて、探索や問題解決などの自然な行動を促すことを目的の一つとして説明しています。
そして、食べ物そのものや、その与え方がエンリッチメントとして利用される場合があります。
例えばカンガルーでは、食べ物やフィーダーを生息環境内の複数の場所に分散して配置し、採食・探索行動(フォレイジング)を促しています。一か所にすべての食べ物をまとめて置くのではなく、動物が移動したり、探したりしながら食べられるようにする方法です。
ゴリラでは自然な採食行動を意識した食事
ゴリラの食事もその一例です。ディズニーは、動物栄養センターがゴリラの日々の食餌を、自然な採食行動(Natural Foraging Behaviors)を促すように構成していると説明しています。
つまり、食事の内容だけでなく、どのような形で与えるか、どこに配置するか、どのような行動を伴って食べるかといった点も、動物ケアの中で考えられています。
さらにディズニーは、トレーニング時に使用される特別なおやつについても、ゴリラの日々の食事の一部として計画されていると紹介しています。

キリンでは高さを利用したエンリッチメント
キリンでは、その長い首や採食行動を活用できるよう、高い位置に設置された給餌器やパズルフィーダー(工夫しないと餌を取れない給餌器)、行動を引き出すためのエンリッチメント用品が利用されています。野生のキリンは、高い位置にある木の葉を採食します。
アニマルキングダムでも、キリンが自分で調べたり、操作したりしながら食べ物にアクセスできるような仕組みが取り入れられています。

トラの成長に合わせて食事とエンリッチメントを変更
スマトラトラのBaksoの成長過程では、動物栄養センターと飼育チームの連携が具体的に紹介されています。Baksoが幼獣だった頃、初めて固形食を食べる段階では、肉食動物向けの食事を準備しました。
ディズニーによると、その食餌には必要な栄養が含まれ、使用される肉についても、倫理的な基準に配慮して調達されたもの(Ethically Sourced)とされています。
その後、成長して離乳が進むにつれて、飼育スタッフは狩猟行動を模したエンリッチメントも取り入れていきました。この例では、成長段階に応じて、食事内容だけでなく、食べ物に関わる行動面の刺激も変化しています。

食事を与えた後も動物を観察する
Animal Nutritionは、食事を準備して与えたところで終わりではありません。
飼育スタッフの日々の仕事には、以下などが含まれています。
・給餌(Feeding)
・エンリッチメント(Enrichment)
・健康モニタリング(Health Monitoring)
Animal Nutrition Center(動物栄養センター)で準備された食事を飼育スタッフが動物へ提供し、その後も日々の状態を観察しながらケアを続けています。
栄養の専門家、飼育スタッフ、獣医師などが、それぞれ完全に独立して仕事をしているのではなく、日々の動物ケアの中で連携しながら関わっていることが分かります。
保全ステーションで学ぶAnimal Nutritionと食事管理
こうしたAnimal Nutrition(動物栄養)の仕事の一部を、一般のゲストが見ることができる場所が保全ステーションです。
施設内のAnimal Nutrition Window(動物栄養見学窓口)では、動物たちの毎日の食事を準備するために、どのような仕事が行われているのかを学ぶことができます。私たちが訪れた際には、動物に与えられる野菜や植物、Browse Programに関する展示などを見ることができ解説も聞けました。

この写真では、動物に与えられる野菜や植物のほか、Browse Programについて紹介する「Got Browse? We do!」の展示も確認できます。
また、保全ステーションには動物栄養見学窓口のほかにも、次のような施設があります。
・獣医療処置室(Veterinary Treatment Room)
・科学研究センター(Science Center)
・両生類・爬虫類・無脊椎動物の観察展示(Amphibian, Reptile and Invertebrate Windows)
Science Centerでは、ディズニーの科学者たちが取り組んでいる研究や科学的な活動の一部を見ることができます。

私たちが訪れた際には、実験・分析機器や作業スペースのほか、動物用フィーダーを食品に触れても安全で洗浄しやすい状態に仕上げる工程を紹介する映像なども見ることができました。
このように保全ステーションでは、Animal Nutritionだけでなく、獣医療や科学など、アニマルキングダムで行われているさまざまな動物ケアの一部について学ぶことができます。
さらに、動物園のAnimal Nutritionでは、単に栄養成分を考えるだけではありません。AZAのFeeding Program Guidelinesには、例えば次のような内容も含まれています。
・栄養基準(Nutrition Standards)
・品質保証・品質管理(Quality Assurance / Quality Control)
・食材の調達・購入(Food Acquisition and Purchasing)
・食材の準備(Food Preparation)
つまりAnimal Nutritionは、「何を食べさせるか」を考えるだけでなく、食材をどのように調達し、品質を管理し、適切に準備するかまで含む専門的な業務です。
他のAZA認定施設にも利用された食餌
動物栄養センターには、もう一つ興味深い側面があります。ディズニーはこの施設について、これまで動物用の食餌を開発・検証するモデル的な試験施設(Model Test Kitchen)として機能してきたと説明しています。
アニマルキングダムの動物向けに開発された一部の食餌は、他のAZA認定施設でも採用されてきたと紹介されています。つまり動物栄養センターは、ウォルト・ディズニー・ワールドの動物たちの毎日の食事を準備するだけでなく、動物園栄養に関する実務的な知識が蓄積されてきた施設でもあります。
1日4.5トン以上の食事を扱いながらZero Wasteにも取り組む
動物栄養センターでは1日4.5トン以上の食事を扱う一方、ディズニーはこの施設を、プラチナ認証を受けたゼロ・ウェイスト施設(Platinum-certified Zero Waste Facility)として紹介しています。
廃棄物を埋立処分から転換し、環境面の持続可能性に貢献する取り組みも行われており、大量の食材を扱う施設でありながら、施設運営に伴う廃棄物の削減にも取り組んでいます。
アニマルキングダムの動物の食事を支えるAnimal Nutrition
アニマルキングダムでは、動物栄養センターで動物ごとの食餌が計画・準備され、飼育スタッフが日々の給餌、エンリッチメント、健康モニタリングに関わり、獣医師を含む複数の専門家が動物ケアを支えています。
アニマルキングダムでは、食餌の計画や準備、給餌、エンリッチメント、日々の観察、健康管理が、動物ケアの中で互いに関係しながら行われています。保全ステーションの動物栄養見学窓口では、普段はバックヤードで行われているこうした仕事の一部を、一般のゲストも実際に見ることができました。
最後に
アニマルキングダムの保全ステーションには、獣医療処置室、動物栄養見学窓口、科学研究センター、両生類・爬虫類・無脊椎動物の観察展示など、さまざまな見どころがあります。
今回はその中から、特に動物の食事・栄養に関する内容に絞ってご紹介しました。施設全体には非常に多くの解説や情報、展示があり、一度のブログですべてをご紹介することはできませんでした。
これまで「ディズニー」といえば、東京ディズニーランドのイメージが強かったのですが、フロリダのアニマルキングダムでは、動物に関する研究や観察が幅広く行われ、獣医学、動物栄養学、動物行動学、生物学、植物学、保全など、さまざまな専門分野の知識を取り入れながら動物たちがケアされていることを知り、とても印象に残りました。
愛鳥との暮らしに取り入れられるアイデアや知識、当店の商品開発の参考になる点も多く、非常に有意義な時間となりました。
食事や栄養以外にも興味深い解説や展示が数多くあったため、機会があれば、今後ほかのテーマについてもご紹介したいと思います。

↑画像は、アニマルキングダムのシンボル「ツリー・オブ・ライフ」です。ディズニーランドでいうシンデレラ城のように、Animal Kingdomを象徴する存在です。
高さは約44m(約14階建てのビルに相当する高さ)、根の部分の幅は約15mあり、巨大な幹や根、枝には300種以上の動物が精巧に彫刻されています。ライオン、シカ、ワシ、サル、ペリカン、サイ、カバ、クマ、カメ、キツネザル、サソリ、イルカなど、よく見るとさまざまな生き物を見つけることができます。画像手前の左右に広がる根の部分にも、動物の彫刻があります。
このツリー・オブ・ライフについて、地球に住む生物の多様性や美しさ、そして生き物同士の相関性を示唆するものとして紹介されています!
※本記事は、ディズニー公式情報、現地展示、現地でガイドから実際に受けた説明をもとに、アニマルキングダムの動物の食事・栄養についてペゴスタッフが現地で知り得た情報をご紹介する目的で作成しています。文章整理の一部にはAIツールを使用しています。掲載写真は、2026年9月にペゴスタッフが現地で撮影したものです。
公式情報は随時更新されるほか、現地ガイドによる説明も担当者や状況によって異なる場合があります。そのため、本記事はアニマルキングダムの動物栄養に関するすべての情報を網羅するものではなく、内容が変更される場合があります。あらかじめご了承ください。



