鳥用スプラウト失敗しない作り方
Sprout(スプラウト)とは、種子(シードや豆類)を水に浸し(Soak)、芽が出た状態(発芽)になったものです。日本語では「発芽種子」「芽だし餌」とも呼ばれます。
乾燥したシードやSoakだけの状態と比べて以下の特徴があり、鳥の体にとてもやさしい食材です。
・高栄養を効率よく吸収できる
・消化しやすい
ヒトの食事では、サラダやサンドイッチに使われる健康食材として知られており、スーパーフードと呼ばれることもあります。

ここでは簡潔に初心者向けに紹介します。
より詳細な情報は会員制サイトに、倍以上の文字数でご案内しているので、お時間とご興味がある方はお読みください。
Soakに関するブログはコチラ
なぜSproutがオススメなの?
詳細な内容は会員制サイトでご紹介しています。ここでは簡潔に紹介しています。
・乾燥状態の種子よりも栄養価が非常に高い
・乾燥種子に含まれていない栄養が新たに生成される
・水分を含んでいるので消化が良い
・胃が弱い動物にも適している
他にも様々なSproutのメリットはありますが、多すぎるので割愛します。
栄養面以外で挙げると、鳥の食事として最も適しているからという理由です。
実は野生の鳥は完全に乾燥した種子などを食べる機会は少ないことをご存知でしょうか(参照)野生の多くの鳥が食べているのは、雨や朝露などで水分を含んだものが多いのです。地面に落ちている湿った種子(Soakに似た状態)や発芽してすぐの種子(Sprout状態)や土の中を掘り起こして見つける水分を含んだ根です。
普段、飼育の時に与えているような完全に乾燥している種子を摂取する機会は多くありません。種子以外の野菜、フルーツ、花、葉、ナッツ、昆虫も同様で食べられるものは何でも食べますが多くの場合、水分を含んでいる生の状態を食べています。
まだ愛玩動物になってから歴史が浅く家畜化されていないので、体の作りが野生と変わらない飼い鳥にも、同じような食事をさせてあげることを強く推奨します。(参照)
※家畜化とはペットになってからの歴史ではなく、交配や遺伝子などに関わることです。参照に詳細があります。
酵素について

Sproutした状態が最も酵素が多い状態です。種子の状態によって酵素の種類に違いはありますが、Sproutの酵素は、栄養を分解して吸収しやすく整える酵素です。
Sproutの酵素を摂取するメリット
詳細な内容は会員制サイトでご紹介しています。
用意するもの
1、容器(Jar/ジャー)
2、水切り(Strainer/ストレーナー)
3、GSE(Grapefruit Seed Extract)
4、鳥に安全な発芽専用の豆類
※動画はGarbanzo Beans, Mung Beans, Lentils, Green Peas です。
※発芽専用種子以外は発芽させないでください。

ペゴが使用している物を紹介(動画内で使用したもの)
Jar(容器):Ball® Mason Jars & Lids, Wide Mouth 16oz
容器はBPAフリーなど無害のものを使用してください。
ストレーナー:ステンレスメッシュ
※上記画像のように食品用メッシュ布などでも可能です。容器の中の水を捨てる時に使うザルの用途になります。
GSE(グレープフルーツ種子エキス):NutriBiotic
無くても構いませんが使った方が安心です。
日本でそろえる場合、容器の紹介はコチラと作り方と与え方はコチラを参考にしてください。
BPAとGSEの解説は会員制サイトに記載しています。
Sproutの作り方
シンプルな単純作業の繰り返し!
慣れてコツを掴むまでは面倒に感じるかもしれませんが【すすぐ→水切り】を12時間置きに2日間、繰り返すだけのシンプルな単純作業です!作り始めてから、たった36~48時間で給餌可能になります。
※撮影スペースの都合上、ペットボトルで行っています。全て水道水の流水に置き換えて作業してください。
動画の文字起こし(より詳細な手順)は会員制サイトに記載しています
基本手順
1、給餌1回分の豆類を容器に入れる
2、冷たい水道水の流水で数回すすぎ、汚れを落とす
3、多めに綺麗な水を入れ、GSEを数滴加える
4、常温で12時間放置(=Soak)
5、水を捨て、再び冷水の流水でしっかりすすぐ
6、再度水とGSEを入れ、10分間放置
7、10分後に水を捨て、流水では洗い流さず、口を下にして水切り
8、常温・空気の流れがある場所で12時間放置
9、5~8の「すすぐ → 水切り」を12時間ごとに繰り返す
作り始めてから36時間後(1.5日)で給餌可能です。
種子によっては48時間ほどかかる場合もあります。
流水でのすすぎは、必ず冷水で1日2~4回を目安に行ってください。お湯や温水は決して使用しないでください。動画は1日2回(12時間置き)すすぎました。
ザックリとしたタイムスケジュール
月曜 20:00-火曜 8:00までSoak
<流水で洗浄>
火曜 8:00-火曜 16:00まで水切り
<流水で洗浄>
火曜 16:00-火曜 23:59まで水切り
<流水で洗浄>
水曜 8:00-完成/給餌可能
作り始めてから、48時間 (2日)以内の給餌が最もおすすめです。個体差があるので、何度も作って愛鳥の好みの状態を見つけてください。
各シードのSoak時間一覧表はコチラで無料配布中です。
現在、約100ページの無料の詳しい発芽手順(PDF)を会員制サイトで準備中です。
与える際は、濡れたものが苦手な鳥はキッチンペーパーなどで水分を取ってから与えることも可能です。お好みで与えてください。
※連続して12時間以上、種子をSoakしないでください。理由は【よくある質問】参照。
小豆のSprout方法
日本では小豆が発芽しにくいというお問い合わせもいくつかいただきます。アメリカでは比較的、難易度は高くない位置付けの豆類らしいです(Garbanzoがムラになりやすく難しいとされています)
小豆も他の豆類と同じ方法でSproutさせますが、それでも発芽しにくい場合は以下の方法をお試しください。
慣れるまではブレンドではなく小豆だけで作ることをおすすめします。
※必ず発芽専用種子を使用してください。
1~8までは全く同じ手順です。
9、綺麗な水を入れ、GSEを加えて4~8時間常温でSoakする。
10、4~8時間経ったら水を捨てて、数回、流水ですすぐ。
11、GSEを数滴たらして10分間常温で放置する。
12、水を捨て、流水では洗い流さず、口を下にして水切り
13、常温・空気の流れがある場所で12時間放置
14、「すすぐ → 水切り」を12時間ごとに繰り返す
まとめると
1日目/前半:12時間Soak
1日目/後半:12時間水切り
2日目/前半:4~8時間、再Soak
2日目/後半:12時間水切り
開始2~4日で給餌可能な状態になります。
ほとんどの場合、発芽専用種子であればセカンドSoak無しでも最初の12時間で十分発芽するはずですが、上手く発芽しない場合はお試しください。
※連続して12時間以上、種子をSoakしないでください。理由は【よくある質問】参照。
水切りの注意点
詳細な内容は会員制サイトでご紹介しています。
容器を置く場所の条件
・空気の循環がある場所(最重要)
・室内で放置(鳥が快適に過ごせる温度と湿度)
・冷蔵庫は使用しない
・常に清潔に保つ(口の部分に物が当たらないように)
・容器の中は乾燥させない
・容器の中はきちんと水を切る
清潔な容器・空気の循環・1日2~3回のすすぎ この3点さえ問題なければ、よっぽどのことがない限り、失敗することはありません。
夏は暑いので冷蔵庫の使用について相談も多数いただきますが、常温よりも冷蔵庫を使用したほうが種子が腐敗しやすい、発芽率が落ちる、栄養面でも偏りが生じるというデメリットしかありません。(冷蔵庫の場合、大腸菌・サルモネラ菌の増殖を抑えることはできますが、リステリア菌は冷蔵庫でも増殖します)また冷蔵庫は密閉空間なので空気の循環も悪いです。
鳥種/給餌量
鳥種
フィンチ~大型インコまで与えることが可能です。
ローリー/ロリキートは不可
小型~大型まで、どの鳥種も可能な限り、毎日与えることを強く推奨しますが、特にオオハナインコとサザナミインコは毎日、与えることを強く強く推奨します。
フィンチや小型インコは食べやすく刻んで与えることも可能です。
給餌量
全体の給餌量の10~20%を推奨です。
毎日、与えることが可能です。好きなタイミングで構いませんが、朝ごはんで与えることを推奨します。

給餌時間
給餌してから10~12時間程度で処分してください。
朝に与えて夕方に交換する時間帯で問題ありません。
よく「SoakやSprout(生鮮食品)は2時間以内に処分しないと腐敗や菌が繁殖して危険」と言われますが、正しい手順と発芽専用種子を使用していれば、健康に影響が出るような菌は半日程度では心配いりませんし、生きているので餌容器に入れた瞬間に成長が止まって腐敗する食品ではありません。
SoakやSprout、マイクログリーンで頻繁に目にするのが「小さなデメリットに恐れて、大きなメリットを逃す」という言葉があります。
こちらもより詳細な内容は会員制サイトで紹介しています。
日本の気候について
多いお問い合わせの一つに「日本は高温多湿なので発芽は不安」と言われます。確かに、日本の気候は適切とは言えませんが、心配するほどではありません。参考に、東京とフロリダ州の2025年の平均を紹介します。ほとんど大差ありません。
フロリダでのSoak/Sprout/マイクログリーンの栽培を心配する声はほとんどありません。

室内栽培+空調管理(鳥に適切な温度と湿度管理)されている、愛鳥が過ごしやすい空間であれば、どの国でも栽培には全く問題ありません。屋外栽培は不可。
室内の温度が常に30℃以上/湿度が70%を越える場合は、栽培以前に愛鳥の飼育環境に適していないので、除湿や通気(扇風機)をして調整してください。
こちらもより詳細な内容は会員制サイトで紹介しています。
発芽後の保管方法
スプラウトは作り立てが最も安全で食いつきも良いため、できるだけ少量ずつ作り、早めに使い切ることが理想です。ただし、多めに作った場合は冷蔵・冷凍保存も可能です。
冷蔵庫での保存
・保存前に、スプラウトへGSEを数滴加えて10分ほど常温でなじませる
・水で洗い流さず、GSEが付いたまましっかり水を切る
・キッチンペーパーで水分をよく取ってから密閉容器に入れる
・保存中も「水分を残さない・清潔を保つ」が重要
・与える時は直前に、冷水でしっかりすすいでから与える
保存期間の目安
・一般的には一週間程度は可能とされていますがペゴの経験上、3~4日以内に使い切るのがおすすめ冷凍庫での保存
・しっかり水を切り、密閉容器に入れて冷凍保存・給餌前に洗う必要はない
・電子レンジなど加熱解凍は推奨されない
・温水で自然解凍する方法を取る人が多い
保存期間の目安
・一般的には3~4週間程度とされるよくある質問
詳細な内容は会員制サイトでご紹介しています。ここでは簡潔に紹介しています。
ヌメりが出る
必ずしもヌメり=腐敗ではありません。多糖類の種子は特にヌメりが出ることは自然な現象なので、腐敗しているヌメりか種子の性質なのか見極めてご使用ください。
腐敗しているかの判断方法を教えて
一番、分かりやすいのは臭いと色です。異臭や変色があってヌメりがある場合は捨ててください。
発芽しません
自然のものなので何とも言えませんが、一度、作り方を見直して他の方法を試していただけたらと思います。
見直すポイント
・水ですすぐ回数を増やす
・寒すぎ/暑すぎていないか
・空気の循環が良い場所か
・Soak時間が適切か など
なぜ発芽専用種子じゃないとダメなの?
普通の種子と発芽専用種子の大きな違いは、一般的な食中毒病原体(サルモネラ菌、大腸菌、リステリア菌)の検査をクリアしていることです。また、発芽能力も確認されています。
「発芽することができる種子」と「適切に発芽できるように認められた種子」では、意味も安全性も全く違います。
スーパーマーケットなどに並んでいる多くの普通の種子も手順を踏めば発芽することはあります。ですが、発芽できるからといって安全な発芽ごはんになるわけではありません。
SproutやMicrogreenは人間用にも発芽専用種子での栽培を推奨されています。これらはFDA(アメリカ食品医薬品局)も公式に注意喚起しています。
どれくらい発芽してれば安全?
1mmでも発芽していれば与えて問題ありません。
光は必要ないって本当?
Sproutに直射日光は不要です。暗い場所での栽培のほうが良いですが、部屋の電気など室内で当たる光程度でしたら全く問題ありません。
1種類だけ又は複数種類を混ぜても良い?
問題ありません。栄養面で考えると複数種類で作ることをオススメします。ただし、種類によって発芽スピードが異なるのでご注意ください。
Sproutは鳥に不適切だと言われた
どんな物にも長所と短所が存在します。誰に不適切と言われたのか、その理由を深掘りしてご自身で納得できる判断をお願いします。
例えば...
Sproutは衛生面で危険
専用の種子や器具は多く販売されており、正しい方法で作れば過度に恐れる必要はありません。不安な場合はSprout専門メーカーに正しい栽培方法を確認し、納得できれば取り入れてください。
栄養面でSproutよりサプリメントやペレットのほうが良いから必要ない
ペレットは加工の工程や開封後に栄養が低下します。ラベルに表示されている栄養が給餌時まで保たれているとは限らないため、Sproutのメリットと比較して判断することが大切です。
獣医師から与えないように言われた
理由を必ず確認してください。特殊な疾患を除けば、多くの場合Sproutは安全で、野生の鳥の食事に近い健康的なフードです。衛生面が理由であれば、正しい作り方を学ぶことで解決できることもあります。
目安時間よりも長時間Soakしても良いですか?
適切な推奨Soak時間で行うことがベストです(少し長くなった程度ならセーフ)どの種子でも連続して12時間以上Soakしても吸水メリットは、ほぼ無いので不可です。むしろ、長時間浸水すると酸素不足の嫌気状態になりメリットよりデメリットの方が大きくなります。どうしても長時間Soakしたい場合は上記の【小豆のSprout方法】の手順で行ってください。
Sproutは、鳥にとってメリットが非常に大きい健康的な食材で、与えないのはもったいないといえます。まずは無理のない量から、少しずつ取り入れてみてください。
ただし、すでに発芽した状態で市販されているSproutは決して鳥には与えないでください。コチラの鳥類生物学者のセミナーでも解説されていますが、これらはサルモネラ菌や大腸菌などの細菌問題で、海外では頻繁にリコール対象となっており、多くの専門家やメーカーも注意喚起しています。
文字数半分以下にして簡潔に紹介しました。詳細な内容は会員制サイトをご確認ください。
注意事項
容器を清潔にして作ってください。
ペゴスタッフが冒頭で紹介したJarは、使用前は煮沸消毒して清潔に使用しています。
GSEは使用しなくても大丈夫ですが使用したほうが、菌の増殖を抑えることができて腐敗しにくくなるので衛生面で使用することをおすすめします。
このやり方が100%正解というわけではない
各社が推奨する作り方を組み合わせた、ペゴのやり方を簡潔に紹介しました。これらの内容はTrue Leaf Marketを含むSproutメーカー6社、いくつかのSproutに関する研究や論文など科学的根拠もある情報をペゴなりに整えて、普段行っている手順です。
人それぞれ、使う容器も考え方も異なるので作り方は色々とあります。自分のやりやすい作り方で適切に安全にSproutすることが重要なので、まずは当ページを参考にしていただき、慣れてきたらご自身でオリジナルの作り方を見つけていただけたらと思います。
ちなみにアメリカの鳥のホールフード業界で一番人気のSprout容器はEasySprout Sprouterです。(ペゴスタッフも愛用中)


